末廣研究室では、「構造」をキーワードにして建築のデザインを研究しています。この「構造」という言葉は、建物を物理的に支える力学的、構法的な意味だけでなく、建築の数学的な空間構造や建築の背景にある人間社会の構造なども含む概念として捉え、方法論として構造主義的なアプローチを取ることも含みます。
一方で、熊本地震を契機に九州の建築学生を中心に組織した仮設住宅団地の環境改善活動、KASEIプロジェクトの運営を通じて、被災地で暮らす方々に寄り添いつつ、長期的視点で人々の痛みを和らげ生活環境を向上させる制度や取り組みについて、建築学的な側面から考え続けています。
また、建築設計の実務家教員として、2021年度より始まったBeCAT(環境をテーマにした建築研究教育センター)を運営しています。(https://becat.kyushu-u.ac.jp)。ここでは、大学での研究成果を学生とともに、具体的なプロジェクトとして社会実装し、持続可能な次世代の社会の姿を提示する取り組みを進めています。
図版解説:
図1:未利用材とペットボトルを用いたシェルター
図2:編み込みジョイントを用いた竹の舞台
図3:可動ジョイントを用いたレシプロカルフレーム
図4:みんなの家_西原村小森仮設団地
図5:KASEIプロジェクト 甲佐町白旗仮設団地
図6:木造仮設住宅_球磨村総合運動公園
図7:木造仮設住宅の移設_美里町