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建築史学

堀 賀貴教授 / 木島 孝之助教

 当研究室では建築と都市の歴史を研究しています。歴史には文字に書かれたものだけでなく,遺構や土器などのモノ(ここに建築が含まれます)が語りかける歴史もあります。当研究室では後者を大切にしています。机の上で文献を読むだけでなく,フィールドに飛び出して長い時間を経た建物を実測することによって,過去の都市・建築に関わる「人間の営み」を感じ取ろうとするのです。具体的には,イタリア政府機関と協力して古代ローマ遺跡の中でも有名なポンペイ,ヘルクラネウム,オスティアで調査を続けています。また、エジプト考古庁と協力してナイル川中流のアコリス遺跡でも調査しています。また,国内では萩でも調査を行っています。
 都市・建築の実測では、レーザー・スキャング技術という技術を使って、都市や建築全体のデジタルツインを製作しています。2mm程度の間隔で並ぶ色付きの三次元の点(X,Y,Z,R,G,B)の集まり(点群と呼ぶ)として建物(遺跡)をデジタル化する技術です。点群によるデジタル・ツインでは、VR空間(メタバース)のリアルさだけでなく、その正確さが特徴でビッグデータとしても研究や遺跡の維持管理に活用することができます。また、写真のような図面(図面のような写真)を、自由に、必要に応じて求める場所で生成することもできます。さらに、点間の距離だけでなく、面積、体積、角度も計測することができ、そのまま研究用のデータとして使えます。また、点群データは(X,Y,Z,R,G,B)のテキストデータで構成され、特殊なファイル形式を持たないので、ほぼ永久にデータを保存することが可能です。さらにこのデータは、ウェブ上で公開することが可能で、ウェブ上では10分の1以下に薄めたものですが、今後のデジタル通信技術の進歩に応じて、密度を高めていくことも可能です。この技術は国際的にも高く評価され、2023年からローマのアウレリアヌス城壁およびその周辺の実測調査を開始する予定です。なお、国の登録有形文化財4棟を含む九州大学の旧箱崎キャンパスの記録保存にも、この技術を使いました。失われてしまった箱崎キャンパスのデジタル・ツインのなかで、メタバースとしてバーチャル・イベントを行うことも可能です。ぜひ、ウェブ上でご覧ください(なお、ポンペイ、アコリスについては公開予定ですが、現時点では未公開です)。

https://history.arch.kyushu-u.ac.jp/potree/workspace/Herculaneum.html
https://history.arch.kyushu-u.ac.jp/potree/workspace/Ostia.html
https://history.arch.kyushu-u.ac.jp/potree/workspace/Hakozaki.html

 

主要な研究テーマ:Main Research Topic

  1. エジプト・アコリス遺跡における古代ローマ採石に関する研究
  2. イタリア・ポンペイ、ヘルクラネウム、オスティア遺跡における古代ローマ都市・建築に関する研究

<研究室ホームページ:Website>
http://history.arch.kyushu-u.ac.jp/HP/