本来建物は自然の猛威から我々を守るシェルターの役目を持っていますが、地震の揺れ、すなわち地震動によって、ひとたび倒壊すると、人の命を奪う凶器になります。建物を凶器に変えないためには、建物を地震動に対して強く造るということだけでなく、建物にとっての敵である地震動そのものをよく知ることも重要です。特に地震動は地盤によって大きく変化することが知られていますので、地震動を知るには、地盤の把握がカギとなります。
当研究室では、地下構造のモデル化や地震動シミュレーションなどを通して、構造物に大きな影響を与える特徴的な地震動の成因解明など地震動ならびにそれに大きな影響を与える地盤に関する様々な課題の解決や技術の開発に取り組んでいます。
このような研究では、観測事実から知見を見出すことが重要です。地震観測データは、自分で観測するほか、近年飛躍的に充実した公的な地震観測網のデータを最大限に活用します。また、地震記録だけでなく、交通振動や海の波浪といった様々なものを振動源とする地面の微小な振動(微動)も、実際にフィールドにおいて観測し、利用しています。