九州大学工学部建築学科


2009年度設計演習作品の紹介

建築設計演習II「機能とプログラム:小学校の設計」

 課題概要
 対 象 3年生前期
 開講時期 2009年前期 6月4日(木)〜 7月16日(木) 7週間
 担当教員 竹下輝和,志賀勉,鮎川透,牧敦司
 課 題 本課題では,小学校施設の計画・設計に関する演習を行い,施設に求められる諸条件を整理して空間のプログラムを構想し,これにもとづいて建物を設計する能力を養う。計画敷地は、福岡市立箱崎小学校の立地する一街区である。


 作品紹介(その1)

 作品タイトル:『まちの中の大きなおうち、まちの中の大きなお庭』     入江奈津子

商店街が近い、住宅が密集した箱崎小学校の校区にはこどもたちが遊べるような広場が2ヶ所しかなく、しかしこの2つの広場もそこに存在するだけで、こどもたちの遊んでいる姿は見られなかった。ほかの小学校と比べて狭いとはいえ、密集した箱崎地区の中では大きな敷地を持つ小学校が授業を受けるためだけじゃなく、こどもたちが一日の大半を過ごす場として豊かな場所であるべきだと考えた。
こどもたちにとって遊びは重要な学びのひとつ!
学習形態の多様化によって個性や自由が主張されているが、小学校はこどもたちにとって初めての社会の場であり、協力することや人の気持ちを考えるなど勉強以外の大切なことは遊びの中で学ぶことが多いのではないだろうか。たくさん遊べてたくさん学べる学校。みんなが集まる、みんなで過ごす楽しい場所。それはまるでみんなのための大きな家のような。こどもたちにとって、そして地域の人たちにとってもそんな場所を作れたらと思った。
 

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 作品紹介(その2)


 作品タイトル:『重なる空間 無限の表情 無限の色』     西亀 和也

最近流行りのオープンスクール。
そこでは様々な学年が混ざりあいながら活動し、楽しげな空間が広がっている。
開かれた教室はオープンスペースでつながり、学年の境界は曖昧になっていく。
つながったオープンスペースはどこか均質な空間に思える。
現在のオープンスクールは「学年の特色」という大切なものを失いかけてはいないだろうか。

そこで3つのオープンスペースを提案する。
学年の特色が生まれるLimited Open Space。
複数の学年が同時に活動するInside Open Space。
それぞれの特色が重なる場であるOutside Open Space。

学年の特色、特別教室の特色、中庭での活動・・・。
Limit とOpen が重なり合う場所では様々な活動が同時に起こる。
ここは子どもたちの活動によって様々な表情を見せ、さまざまな色が付けられていく。
重なり合う空間は無限の表情と無限の色を持っている。
 

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 作品紹介(その3)

 作品タイトル:『大家族の巣  -Beans School-』     緒方大地

  教師が児童に知識を「教」える場所であったかつての学校から、児童が教師から「学」ぶ場所へと変化した現在の学校であるが、もう一歩次のステップへ進むとどうなるだろうか。その次のステップとしてこどもが「育」つ学校を提案したい。
  こどもが育つ学校であるために、次の2つを基礎とした。
          ・自発的学習をうながす空間
          ・たてわりユニットで運営する
  「自発的学習」とは、自分にとって快適な学習空間を自ら創りだして、または探し出して、そこで学習を展開するということである。こどもが、学習の内容、人数によって適切な学習環境を想定し創る、この作業が学習そのものと同じくらい重要であると考え、多様に扱える空間を用意した。たてわりユニットによる異学年との交流は、その学習の選択肢に大きな広がりを与えるだろう。
  異学年集団での生活を「家族」に、快適な場所を創りだす作業を巣作りにみたてた『大家族の巣』を提案する。
 

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 作品紹介(その4)


 作品タイトル:『こどもの世界とおとなの世界』     佐藤美奈子

 学校の地域開放はこれからの小学校建築においてとても重要な問題である。一方で忘れてはならないのが、どんなに地域開放しても学校で最も長く生活するのは子供たちだということ。地域開放によって学校の中に生じるおとなの世界とこどもたちの世界とがほどよく離れ、ほどよく混ざり合うような小学校がこれからは求められているのではないかと思いこの小学校を設計した。
 ここでいうおとなの世界とは、特別教室や体育館などを地域に開放することでさまざまさ人たちが出入りする世界。こどもの世界とは、こどもたちが自ら友人関係を築き、社会生活を学ぶ世界のことである。
 こどもの世界には、ピロティの森、はこざき川、デッキの回廊、みどりの回廊などを設けて、こどもたちが自分のお気に入りの場所を見つけられるようにした。こどもの世界を見守るように、おとなの世界がひろがり、こどもたちのアクティビティがおとなの世界を突き抜けて地域に飛び出していく様子を表現した。
 


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