九州大学工学部建築学科


2009年度設計演習作品の紹介

建築設計演習U 「生活と空間:住宅の設計」

 課題概要
 対 象 3年生前期
 開講時期 2009年前期 4月13日(月)〜 5月18日(月) 5週間
 担当教員 菊地 成朋,堀 賀貴,有馬 隆文,木島 孝之
 課 題 本課題では、現代の新たな家族像・生活スタイルを想定しつつ、住み手に相応しい住空間、地域の環境や景観を考慮した住宅を提案する。 住宅の計画地は性格が全く異なる2つの地域である。1つは町屋形式の町割が残る「箱崎」であり、もう1つは多々良川の河口に面した「名島」である。これら2つの設計案を比較しながら、住宅の設計手法を学ぶ。


 作品紹介(その1)

 『トオリニワハウス』     入江奈津子

 町家の区画割りの面影が残る箱崎3丁目の敷地。ここにカフェを併設した住宅をつくる。敷地の説明の『町家』というキーワードから、その中でもトオリニワに注目した。・従来の町家のようにあえてミセ部分を設けるのではなく、トオリニワの玄関から台所までの居住空間をミセとしても利用し、訪れる人にとって友達の家のような親しみやすい空間をつくる・パブリックとプライベートを分けてしまうのではなく、通りから家までをゆるやかに繋げ、閉鎖的な家にならないようにする・その上でプライバシーも確保する一方からは奥に広がる空間の生活感は感じられるがすべてが見えてしまうわけではなく、もう一方からは家全体が一体に感じられるように、大きさが徐々に変化する開口を持つ壁に囲まれた空間を連続させた。この開口部の連続によるトオリニワのような空間が上記の目的を実現し、それと同時に奥行き感のあるゆったりとした住宅ができたのではないかと思う。
 

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 作品紹介(その2)

 『鳥の生活。』     田中 伸穂

海岸近くの小さな森。
気持ちのいい木陰でベンチに寝そべってみると鳥が飛んでいた。
空を舞ったり、枝に止まったり、海を見渡したり。
とても楽しそうだ。
空から見ると森のざわめきや、海のきらめきは、どんな風に見えるのだろう。
樹木にぐるりと全身を囲まれるのは、どんなに心地いだろう。
そんな鳥の生活ができる住宅を作りたいと思った。
 

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 作品紹介(その3)

 『WALL HOUSE  −かべのいえ−』     佐藤美奈子

 この敷地は福岡市東区箱崎3丁目の1区角で、敷地周辺は住宅、商業が雑多な環境である。用途として商業地域に指定されており、建物の高さも不揃いである。きんしゃい通りという古くからの商店街にも近く人通りも多い。前面道路は7mと狭いが大通りの抜け道として使われることも多く車の交通量も多い。敷地は、間口が狭く奥に長い、いわゆる町屋形式の敷地である。近接も同様な形状である。 この住宅は、おばあちゃんとその息子夫婦の3人が暮らす2世帯住宅である。1階の道路側にはおばあちゃんが教える書道教室があり、地域に開かれた空間となっている。 そのため、教室の生徒さんなど多く人が出入りすることになる。そこで間口から奥に向かうにしたがってパブリックな空間からプライベートな空間になっていくという段階を「かべ」によって表して、その「かべ」が人の動線によって揺れるという、コンセプトである。
 

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 作品紹介(その4)


 『下と上をつなぐ斜面』     中道大樹

 私たちはいつも見えるものを見て生活する。見えないものは気になる。そこで,斜面を用いて位置的な差異が生む気になる感覚を誘発する住宅を提案する。

1.敷地を9つのセクションに割り,生活空間とアクセス空間を交互に連続させる。それぞれのセクションの屋根の形状に変化を加え,不連続した屋根を作り,内部からの面白さを演出する。
2.接する道路からも屋根の形状を見せる。2階部分を島状にして奥まで見渡せるようにし,住宅の内部および周辺のどこからでも見えるようにする。こうすることにより,表面しか見えない従来の町屋のスタイルに変化をもたらす。
3.一階部分にプライベート空間を設ける。2階部分が住宅全体が見渡せる吹き抜けになっているのに対し,一階部分には住宅に必要なプライバシーを設ける。上には開放的な印象を与えるとともに,横には囲まれた感じを与える。

 
上記の3つの点を実現し,従来の町屋にはない開放的な住宅ができたと感じる。
 


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 作品紹介(その5)

 『ステップアップサイクル 層の家』     和田雅人

箱崎のこの敷地で、いくつかのシステムを提案したいと思いました。そこで、大きな目で、街のなかでの立ち位置、小さな目での、家の中での循環長期的な目での、使われ方の変換いくつもの事項が絡みながらまわっていく住宅を提案します。
●街の中での立ち位置十数年後、移転に伴う九州大学箱崎キャンパス跡地を見越した戦略を立てています。跡地に建つ建物のインテリアグリーン、緑地管理などのビジネスを考えています。
●家の中での関係性日蔭が好きな植物、半日蔭が好きな植物、日向が好きな植物などがあり、それらを満たす内部空間を計画し、つなげました。また、店舗空間と住宅をカチリと分けて考えるのではなく、昼間は店舗として機能する場が、閉店後は住空間にどう関係してくるかを意識して設計をしました。
●長期的な目での使われ方の変換家族構成も使い方も時間によって変わっていく。そんな変換にも対応して回っていくように、複数の縦に繋がる動線を設けるなどの工夫を行いました。 
  

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